噂を信じちゃいけないよ

2026年8月16日(日)
「噂を信じちゃいけないよ」  永松 博
サムエル記上24章1〜16節(聖書協会共同訳)
地震など災害が頻発する中、被災地では間違った「噂」の流布が繰り返されています。約103年前、関東大震災下では「朝鮮人が井戸に毒を入れた、略奪、放火した」などの間違った噂が流れ、噂を信じた住民らは朝鮮人・中国人を虐殺しました。これは昔の話ではありません。2011年、東日本大震災の後、仙台市において大学が行った調査では、回答者770人のうち、5割が「外国人が犯罪をしている」との噂(「遺体の指を切って指輪を盗んだ」等)を聞いたそうで、うち8割超が噂を「信じた」との結果が出ています。2024年、能登地震でも「外国人窃盗団が集結している」との噂を信じた消防団員たちが、バールやハンマーを積んだ車で集落を巡回しました。先月の熊本地震では、「外国人を…追い出さないと略奪、窃盗が始まる」「多分外国人の火事場泥棒出る」との根拠なき噂が流され、二重に脅かされている人たちがいます。
今日の箇所にも「噂」は出ています(「10なぜあなた(サウル王)は、ダビデがあなたに危害を加えようとしている、などという人の噂に耳を貸されるのですか」)。この箇所の文脈は、王サウルが家臣ダビデにいつしか敵意を抱き、執拗に命を狙う中でで起こった出来事です。王サウルの殺意の発端は18章でした。王は、ダビデがゴリアトを倒した際、人びとによる「18:7サウルは千を討ち/ダビデは万を討った」との歌を聞いて以降、怒り、猜疑心、殺意を抱きました。しかし、この歌こそ噂でしょう。ダビデは、万どころかゴリアト一人しか討ってはいないからです。しかしこの歌は、21章12節、29章5節でも繰り返され、ペリシテ各地にまで広まっていました。
しかし、噂が蔓延し、命を狙われる状況の中で、ダビデは4度も「見る(ראה)」という言葉を繰り返しました。①「11…ご自分の目でご覧になっています(ראה)」②、③「12わが父よ、よく御覧ください(ראה גם ראה)」(※字義通りには「見てさらにまた見て下さい」。ヘブライ語は、同じ動詞を繰り返して強調を表現するのを好む)。④「12どうか分かってください(ראה)」。ダビデは、王サウルに間接的にではなく直視するよう訴えたのでした。私は先日の人権の学びと重なりました。「芝浦と場」で働く部落解放同盟の方は「その場(と場)の人をしっかり見てほしい」と語っていました。また、墨田区の皮革産業に関する資料室を見た小学5年生は「僕は…通ったとき「くさい」と思いました。しかし、見学した後の帰り道は…なにもない「くさい」ではなく意味のある「くさい」にかわりました」と書いていました。神はみる(知る)ことで、平和をつくるお方なのではないのでしょうか。

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